最高の獲物と出会うには投げ続ける事が大事だ!
無人の砂浜に
釣竿を担いで降りると潮の満潮時を示す漂流物が遥か彼方の岬まで連なっていた。無意識にその線に沿って僕は歩をすすめた。圧倒的な青に目が眩みやがて椰子の実に蹴躓いた。俯いたついでに流木と絡まる麻縄を跨いで越えた。それはまるで冒険を終えた壊れた筏のようで、今にも浜沿いのアダンの生い茂る密林から椰子ガニを捕まえたトム・ソーヤとハックルベリ・フィンが僕を脅かしに現れそうだ。一旦、僕は釣竿を砂に埋もれかけた樫の樽に立て掛け、砂浜に横たわってみた。擽るヤドカリを払い退ける姿はまるで捕らわれたガリバーだ。ゆっくりと身を起こすと対峙した無人のはずの離れ小島でバナナの木の大きな葉を捲りロビンソン・クルーソーが怪しげな僕の様子を伺っている幻覚が過った。あれは放し飼いされた山羊だ・・僕は独り呟いてみる。冒険は既に始まっていたんだ・・・釣竿が頼もしい剣にみえた
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